秘 湯

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水無海浜温泉
熊の湯
二股ラジウム温泉
銀婚湯

道南の秘湯を4つ取りまとめ・・・

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家族そろって温泉が大好きである。温泉に行くことは一大イベントで、妻は2週間も前から、タオル、シャンプーなどバッグに詰めこみ、前日は、枕の下にパンフを置いて眠るのである。一富士、ニ鷹、三温泉。夢の中で長湯をした翌朝、寝不足の目をこすりつつ家を出る。途中で小さな公園を見つけては子供と遊び、お握りを食べ、ハンドルを握る。まさに、温泉で抜くための疲れを溜めつつ温泉に向かうのである。
 函館に来てからと言うもの、単身赴任の気楽さもあって、週末には温泉通いである。通常は市内の到るところにある、公衆浴場ともいうべき温泉に通っているのだが、2ヶ月に1度位の割で遠出をする。
 これまでで特に印象に残る温泉をいくつか挙げてみようと思う。
 まず、秘湯その1水無海浜温泉」。ここは、これまで入った温泉の中でも、秘湯中の秘湯だ。別に、野越え山越え森の中を分け入る訳ではない。それどころか、津軽海峡から噴火湾に連なる太平洋を眺めながら湯船に浸かることができる開けっぴろげの温泉である。
 どのくらい開けっぴろげかというと、まず建て屋が無い。脱衣所が無い。洗い場も水も無い。男女の別も無い。あるのは陸と海の半々にかかるようにこしらえた湯船だけ。満潮では海に没して入れない。干潮では熱過ぎて入れない。しかし、幸運の女神が湯加減を見てくれたので私は、入った。すばらしい!波が湯船の中まで打ち寄せるくらいの位置にある湯船だから、波は目の高さより上になる。まるで太平洋を湯船にしているようなものだ。湯船の中、足元に海藻が茂っているのも不思議である。もちろん味はしょっぱい!
 この夏(平成12年夏)、妻と娘を隣接する恵山岬のホテルに泊め案内したが、この海藻と駆け回る船虫を気味悪がって、水着でもとうとう入らなかった。
 秘湯その2。道南の日本海寄り、熊石町にある「熊の湯」。山深い地にある渓流の岩盤をくり貫いて作った、鮮やかな紅葉を愛でながら入ることができる湯船。脱衣所以外建て屋無し。洗い場無し。男女の別無し。かなりの熱湯が間歇で湯量を変えるため、ホースで遠くから引いている水の加減が難しい。かすかな硫黄臭と味。
 きっとここへも妻と娘は入らないだろう。
 秘湯その3二股ラジウム温泉」。野越え山越えたどり着いたが、石灰華でできた有名なドームは削岩機の餌食になって、平成12年中を目途に建て直されるとのことであった。せっかくだからと内湯と露天風呂だけ入ったが、簡潔に言い現すと「キタナイ」。
 建物はバラック状で、引き戸は、傾斜により自動的に閉まる。脱衣所は天井が低く、圧迫感があり、これまたキタナイ。内湯はキタナイ。男女別の無い露天風呂はキタナイ。
 しかし、飲用可の源泉は無味無臭であるが効用は多く、ラジウム含有量日本一の名に違わず絶品である。脱衣所が汚かろうと、湯船が汚かろうと、例え海の中だろうと山の中だろうと、温泉好きは訪ねて行くのである。この温泉は、そのような温泉好きを集め、湯治場として全国に名を馳せているのである。
 妻と娘は、建物を見て引き返すだろう。ドームが改築なったら再び訪れて見たい。
 さて、道南の八雲町にある「銀婚湯」は、私に言わせると秘湯とは言えないが、湯がとてもすばらしいので紹介したい。趣のある純和風旅館であり、宿泊客のみならず日帰り客を格安料金で受け入れてくれるのは、道内の多くの旅館やホテルと同じである。
 自然の岩を配した内湯は広くキレイで、小さいながらも川の音をBGMにゆっくりできる露天風呂は、湯加減もよく落ち着いている。
 特筆すべきは、黒とも藍ともつかぬ深い色合いの湯である。湯冷めせず肌がすべすべとする泉質。味、匂いとも特段変わったところは無いにも拘わらず心落ち着く入り心地。今日まで入り続けた温泉の中でもNo.1の湯であることは間違い無い。
 大正天皇の銀婚式(結婚25周年)の年に掘り当てたので「銀婚湯」と名付けたそうである。2007年に我が家も銀婚式、この温泉なら妻と娘は何の不平も言わないだろう。
 帰省の際には、空港のすぐそばにある「湯宝」(UFOと発音)で汗を流し、空港で生ビールを飲み、我が家にたどり着くのが22時過ぎ。翌日には帰省記念温泉ツアーがセットされ、道々、疲れを溜めつつ温泉に向かうのであるが、不平を言える立場では無い。


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